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どうして先生は忙しいの?

どうして学校の先生は忙しいの? 
 

【ある教職員退職者のお話】 
 
昨年12月に改定されてしまいましたが、
教育基本法第一条(教育の目的)「教育は人格の完成をめざし、平和的な国家および
社会の形成者として真理と正義を愛し個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、
自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」
という文章を改めて読んでいて、これは学級目標に使えるなぁと思いました。
学級目標を作るときに子どもの言葉で作ることができるなぁと思いました。 

その教育基本法のもとで私は30何年か教師を続けていました。 
退職して最初に思ったのは、
神経がハイの状態で教師をずっとやってきたんだなぁということです。
ハイの状態でやってこないと続けられない、大変な職場だったんだと思いました。
楽しいし、喜びも悲しみもいっぱいあるのですが。 
 

ある小学校の日課表です。 

先生方の勤務時間割といって、休憩・休息をどうなっているか?


教師は、いっさいに休憩を取ることはできませんし、実際には、ほとんど休憩は取れません。
会議中に休憩時間が設定されているなど矛盾しています。
勤務開始時刻は 8 時 20 分になっていますが、その時間に来たら間に合いません
勤務時間前に 部活点呼観察交通指導などがあります。

8時 20 分から始まる職員打ち合わせの前に教室へ寄って、子供達の様子を見るのですが、
低学年の場合は 30分ぐらい前からいないと何があるか分かりません。
勤務の振替は、その日の内に取らなければならないので、殆どないのに等しい状態です。

超過勤務手当はありません。
教員調整手当というのが出ていますが、それは 1日 15分ぶんしかないのです。 
それから、会議が終わってから教員は自分の仕事をします

の仕事というのは、成績処理次の日の準備などや、指導記録などです。
時期によっては指導要領健康診断記録とかです。学級通信は自宅に持ち帰って作ります 

10分休みや、20分休みなどの休み時間には何をやるかというと、
まるつけ次の時間のプリントの用意授業準備や宿題を見たりします

又、次の日の宿題の用意をしたり、子供に対応したり、遊んだり、展示物の張替えもします。
これだけの事のどれかを、休み時間にやらなくてはなりません。
子供を集めて、例えば、遠足の準備などをやらせるなど、
学年活動や児童会活動などに関わるものは、休み時間やらないとなりません。
集会準備や練習は、休み時間を使って行います。 
 
何時見ても何かをしているようで、保護者の方が中々声を掛けられないという状態なのです。
私たちから言えば、その時間しか取れないですから 声を掛けて頂いた方がいいです。
授業に入ると取れませんから、短時間であってもそこでお話しできた方がいいですね。  
朝、子どもが学校へ来てから帰るまでは、本当に目が離せません。気を抜けません。
安全や子どもたちの様子にいつも気を配っていなければなりません。 
 

問題点は ・・・

子どもとゆっくり向き合えない。 

教師間の交流の時間が持てない。…
週一回学年会があるのですが、それまで待っていられません。
できるだけ20分休みには、職員室へ行って交流・情報交換をします。
それをしないと、自分のクラスしか見えなくなります。それに、教師間の交流は大事です。 

少人数学級だと成績処理等の時間短縮になり、ゆとりが生まれます。
給食を配り終えるのも早いですね。だからゆっくり食べて、ゆっくり昼休み遊べます。 

芸術体育等の専門教育を低学年から充実させたい。 

子どもや保護者、安全対策などに追われている。…精神的な忙しさに追われます。 

教員評価制度の問題…自分が一生懸命やっていると思っても、
良い評価につながらないと、精神的なストレスやプレッシャーにつながります。

今、検討されている教員免許制度の問題があります。
免許更新を厳しくするといっていますが、教師の目がそちらにいってしまいます。
今の教育再生会議などのように、次々いろいろなものが出されてきて困惑することが多いです。 
 

質疑応答


Q)初任の頃と現在を比べて、違うところがありますか? 
A)昔は、放課後他の先生達と集まって話をしたり、教材研究のようなこともしていましたね。
のどかでしたし、会議が今のように多くはなかったです。
その当時は4~5クラスあったんですが、放課後先生同士が自由に交流をしていました

いつ頃からか意識もいない内に段々色んな業務が増えだしてきて、気がついたら
行事やクラブなど、何もない日が月に4日しかなかった。さらに、今はもっと少ないです。 
それに出張があります。

普通の出張の場合は代わりの先生はいませんから、担任以外の先生がクラスに入ります。
入るといっても、授業を進められないし子供の安全を見るだけで、子供達には自習をさせます。
山ほど自習を出すわけにはいかないので、用意したプリントだけでは早く終わってしまいます。

年休を取った時も自習になってしまいますから、教師は休みも中々取れなくなります。
年休は一年間に20日取れるのですが、取らないと次の年に繰り越されます(最長40日間まで)。 
 

Q)夏休みも学校へ出勤することになりましたよね? 
A)教育公務員特例法の中に、「教師は場所を変えて研修しても良い」という条文がありますが、
博物館見学とか、図書館へ行くとか、していたんですが、今はとても厳しくなりました

自宅研修が認められなくなり、出勤するように となっています。 
職員室にクーラーはないので(中学校はある!)、クーラーのある保健室やパソコン室に行って
仕事をしたりしています。

7月中はプール指導があるので大体学校へ出ていますが、
8月は日直がある以外は、年休を取るか、研修か、出勤ということになります。
民間研究団体の研修会に出たりもします。個人面談を夏休みに行う学校もあります。 

Q)授業の準備を夏休みに行うことはあるのですか。 
A)算数のプリントを準備するということ位は出来ますが、そんな先までの準備はできません。
教材研究というのは、子供を目の前にして、子供の反応を見ながらやっていくものです。
教師が計画した通りに授業をやるというのは意味がないし、生きた授業にならないのです。
だから、夏休みにできることは限られています。 
 
退職してから、熊本県の矢部町に行き、通潤橋というアーチ橋を見ました。
アーチ橋としてしか指導していなかったのですが、
水を引くという仕事がどんなに大変かということが現地へ行ってみて初めてわかりました。
丸一日そこに滞在し、資料館にも行き、とても感動しました。
教師のうちに来たかったと強く思いました。

そういう研修というのが以前はできましたが、今は認められません。
そういう現場へ行って、研修して、それを授業の中に生かしていくことは大切だと思います。 
年休を取るのか、研修として行くのか、教師が自費で行くのですから、
研修として認めて欲しいですね。

親たちが「旅行なのに研修だと言う」とか、そういうことを理由にして、
民間教育団体の研修会への参加も研修として認められないのです。
年休が取れないから研修会も夏休み中であっても土日に開催されるようになって来ました。 
きちんと研修し、報告書も書き、授業に生かしていく。
そうした研修を研修として認めて欲しいですね。 

土曜日が休みになる前は、土曜日の午後に教材研究したり、先生同士の交流が出来ました。
クラスの展示物の貼り替えも土曜日に楽しみながら出来ました。 
 

Q)以前の子供達と今の子供達の様子に違いはありますか? 
A)基本的にはそれほど変わりませんが、子供達や家庭の価値観が多様化しています。
1・2年生であっても、読み書きしか勉強ではないと思っている子がいて、
生活科で泥団子を作るという時、「こんなの授業かよ?」と言う子もいるんです。
人間関係のつくり方は幼いかもしれないけれど、学習意欲は昔よりあります。 
 
荒れたクラスを持った時は、授業でひきつけて、子どもたちが活躍する場を作って
自信をつけさせないと、絶対だめなんですね。 
そういうことに力を尽くすことがものすごく多いですね。

学校というのは、一時間以内にいっせいに皆が同じようにやらなくてはならない。
これがつらいんですね。
子どもが悩みながらも作り上げることを待つという時間も大切だけど、
なかなかそういうことができないですね。
それと学力低下といわれているけれど、その実態は格差が広がっているということです。 


Q)親が家でやるべきしつけを学校にまかせて、学校でやるべき勉強をさせに塾に行かせて、
その塾にかかる費用を稼ぐために母親がパートに出て、子どもを見る暇がない。
そんな感じがするのですが、先生から見てどうですか? 
A)地域によるかもしれません。私は「結構できている」と思っていました。
はさみも使えないも子も時にはいますが、それはしつけとは違いますから学校で教えます。
でも幼稚園でちゃんとやってきていますから、大抵の子はできています。
人とのやり取りで、借りた物を返す時に「ありがとう」と言えないというようなことはあります。 
昔と生活自体が違うから、「できない」と思っておいたほうが教師としては気持ちが楽です。 


Q)先生の忙しさの実態についていろいろお話を伺いましたが、
ゆとりを持って子どもと向き合ったり、親と話し合ったりという時間をつくるのは難しいですね。
どうしたらよいのでしょうか。

A)解決のためには・・・
少人数指導ではなく、少人数学級にしてほしい。
生活全般に関わってゆとりがでてきます。

低学年であっても 音楽などの専科の先生がいれば、専門性ということとあわせて、
担任教師に空き時間ができますから、その時間に親との話し合いの時間も持てます。
参観日まで待たなくても、心配事があればその時間に来て担任と話ができます。 

教師の評価制度があると 教師の目を向ける方向が違ってしまいます。
教教師を締め付けるような評価制度は問題です。
皆さんは一日参観についてどう思いますか? して欲しいと思いますか?
参観となかなか普段通りの授業はできないんですね。

一日参観は授業を見てもらうだけで、懇談会はない。
見てもらうだけで、どういうふうに見てもらえたのかを聞くことができません。
見っぱなしになってしまう。情報交換ができません。 
 

Q)一般の先生にとってPTAって何ですか? 先生方にとってPTAは役に立っていますか? 
(校長先生や教頭先生とはよく連絡を取り合うのですが・・・)
A)私は根木内東小の時には副会長として参加していましたから運営委員会にも出席しました。
校長先生と教頭先生だけ出席するようなPTAだと、報告がありませんから、
PTAの活動が教師にはわかりません。
総会にはもちろん出ますけれど、学級委員の方たちと学級活動をするだけですね。

校長・教頭が壁になっていますね。
学級委員が、懇談会の時に何をPTAでやってほしいかという声を吸い上げる
窓口だということを意識してやっていかないと。
そうでないと学級懇談会で出た話が運営委員会まで届かない。


Q)根木内東の場合は、教職員部会があってそこから互選で役員を出していたんですよね。
だから校長や教頭でない先生が役員としてPTAに関わっていた。
親としては管理職ではない先生たちと接触を持ちたい。 
A)各専門委員会担当の先生が決められているはずだから、それは利用したほうがいい。
できたら教職員部会を作ったらよい。
「普通の先生と話したい」と保護者の役員の人から言われます。そういう働きかけをしたほうがいい。 
とにかく先生たちには「時間をつくってください」と声をかけてください。
本当に忙しいしいですけれど、「今忙しいけれど、いつならOK」と言いますから。  

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