§関連するトピックス§

液状化で沈んだ浦安市

傾き1.5㌢ 見積もり数百万円


土手の内側に整然と並ぶ住宅街。
渡辺啓公さん(71)=千葉県浦安市今川3丁目=の自宅は
ざっと外観を見たところ損壊の形跡はない。
が、市の調査で道路に面した玄関側が1.5㌢沈んでいるのが分かった。
この傾斜で玄関ドアの鍵穴かすれ、鍵が掛けられなくなった。


自宅の傾斜を補修するのに、数百万円かかるとの見積もりを聞かされ、
渡辺さんは修復を断念した。妻と息子の3人家族。
「この年になって、そこまで負担して直すつもりはない」。
玄関の鍵は3万円で直してもらった。

さらに、下水管も自宅敷地内で詰まった配管部分は、
自己負担での補修を余儀なくされた。


自宅の傾斜はわずか数センチでも健康被害を及ぼす。
震災以来、傾いた家屋で生活を続け、平衡感覚の失調や頭痛、
めまい、吐き気を訴える市民からの相談が市に相次いでいる。


22日付の市の家屋被害認定調査速報によると、
全一戸建住宅約9千棟のうち、被害が認められたのは7971棟。
このうち全壊は8棟、半壊は33棟、一部損壊は7930棟だった。
被災した一戸建て住宅の99%以上が「一部損壊」と判定されたことになる。


「傾き」に関する現在の家屋被害認定は、高さ120㌢に対し
6㌢以上傾いた場合のみ「全壊」とされる。

2~6㌢の傾きに加え、
壁や屋根など他に損壊部分が確認されれば「半壊」となる
2~6㌢の傾きのみの被災であれば「一部損壊」と判定される。
このため、液状化で傾いた家屋の大半が「一部損壊」とみなされた。


全壊や大規模半壊と判定されれば、家主は被災者生活再建支援制度に基づき、
国の支援(全壊で最大300万円)が受けられる。が、
一部損壊は家屋修復の公的支援の対象外だ。


このため同市などは「り災証明書」の被害区分の判定基準見直しを国に要請。
国も前向きな意向を示しているが、見直しの中身は不透明だ。
千葉県や浦安市などは国の補助とは別に、独自の支援策を検討している。


渡辺さんが2階建ての一戸建て住宅を購入したのは
30数年前。
「この辺りで最初に家を建てた」住み始めたときはは周囲に何もなく、
海風やほこりにさらされた。

「三十年たってようやく快適に住めるようになったと
安心していたら、こんな目に遭うとは」40年前、土手の向こうは海岸だった。
埋め立ての拡充に伴い、かつての堤防越しには今、幹線道路と高層マンションの
街並みが広かっている。





§関連するトピックス§